モンゴル草原の高成長性植物の生理機能と有用遺伝子

モンゴル草原やモンゴル南部のゴビ砂漠エリアなどは、冬季は過酷な寒冷乾燥環境下に晒されますが、このような地域でも植物は生育しています。夏期を迎えたモンゴル草原は、7月初旬までは植物の生育が疎な茶褐色状態ですが、その時期の降雨を受け、草原植物は旺盛に繁茂し、多彩な植物に満ちた草原となります。しかし、この緑の草原も、9月初旬には気温の低下と降雨の減少に伴って枯れ始め、また茶褐色の草原に戻ってしまいます。このようなモンゴル草原に育つ植物は、約2ケ月という非常に短い夏に、芽生え、成長し、開花して、次世代種子を残す、という一連の成長を終えるライフサイクルを維持し得るように進化してきたと考えられます。

当研究室では、このような考察を背景に、モンゴルの植物研究者らとの共同研究によって、モンゴル草原植物の中から、成長迅速性および環境ストレス耐性に基づく植物バイオマス生産性に優れた機能を持つ植物を探索し、その生理機能の解析を始めています。今後は、それらの植物から、新規遺伝子を探索し、モンゴル草原発の新規な植物成長制御遺伝子を同定することを目指しています。
また、地球温暖化の進行と遊牧家畜の過放牧によって荒廃が進むモンゴル草原の回復試験にも参加しています。

関連する研究推進中のプロジェクト

JST/JICA-SATREPS(2019 – 2024)
科学技術振興機構/国際協力機構-地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム
https://www.jst.go.jp/global/kadai/r0106_mongol.html

(主担当:中野雄司)