Joanne Chory博士の追悼シンポジウムに参加し発表をしました
Joanne Chory博士(Salk Institute, La Jolla, CA, USA)は、ブラシノステロイド生合成遺伝子DET2の発見(PNAS, 1997)、ブラシノステロイド受容体遺伝子BRI1の発見(Cell, 1997)を始めとして、ブラシノステロイドが植物ホルモンのカテゴリーにアサインされる最大の立役者です。その後もブラシノステロイド、さらに、光シグナル伝達、葉緑体レトログレードシグナル、オーキシン、避陰反応、などの植物研究を牽引して来られました。中野がポスドクとして研究留学をして、BIlL1/BZR1の発見に繋がる研究を行った時の指導教員でもあります。このJoanne Chory博士が、2024年12月に70才の若さで他界してしまいました。
元々、同窓生たちは、Joanneの70才の誕生日を祝うシンポジウムを、2025年春にSalk Instで開催することを企画しており、それをJoanneも楽しみにしていたのですが、叶わぬこととなってしまいました。そこで、追悼シンポジウム(Joanne Chory Memorial Symposium)と名前を代えて、2025年7月25日からのアメリカ植物生物学会(ASPB)の初日と2日目の2日間にで行うことになり、同窓生たちは、会場のミルウォーキー(ウィスコンシン州、アメリカ)に集まり、それぞれのChory Lab後の研究成果を発表しました。


こちらは、同じChory Labでも同じ時期にラボに所属した同世代メンバーでの集合写真。ブラシノステロイド関係の研究者では、Yanhai Yin (BES1など;Iowa州立大、アメリカ、左から4人目)、Xuelu Wang(BKI1など;河南大学、中国、左から5人目)、Santiago Mora-Garcia(BSU1;Fundación Instituto Leloir, アルゼンチン、左から7人目)、Gregory Vert(CNRS, フランス、右から7人目)、Nico Geldner(Lausanne大学、スイス、右から5人目)、Sigal Savaldi-Goldstein(Technion、イスラエル、右から3人目)、 Jianming Li(DET2,BRI1など;香港バプテスト大学、香港、右端)。会場には来ていたものの、ここに写っていない人もいます。
今、こうして写真を眺め直しても、2000年代初頭、正に世界中から多くの若い研究者の雛たちがJoanneのラボを目指して集ったこと、その彼ら彼女らは、Chory Labで得た知識と技術を持って、世界各地に再び散って、その後も数々の新しい研究成果を第一線で挙げ続けていることが、強烈に印象付けられるメンバーだと思います。ここにJoanneがいないこと、我らの研究成果を聞いて貰えなかったこと、それこそが唯一最大の残念なことだ、と皆で口々に話しつつ、その逝去を惜しみました。