ブラシノステロイドシグナル伝達経路の新規因子BIL8によるタンパク質リン酸化酵素BIN2の制御機構を明らかにしたチャガンくん(博士課程学生)を第一著者とする研究論文が、Plant Physiology誌に掲載されました
ブラシノステロイドのシグナル伝達機構による植物成長制御機構の解明は、中野教授らがbil変異体の探索などにより進めてきた私たちの研究チームの主要研究テーマの一つです。
この度、当研究室のチャガン (Chaganzhana, 博士課程学生)、中野雄司 教授、宮川拓也 准教授、山上あゆみ 助教、中田元基(元:中野研@理研/明治大学修士課程学生)、鈴木慎(元:京都大学修士課程学生)、立花諒(京都大学博士課程学生)などは共同研究を行い、ブラシノステロイドによる植物成長を促進する新規因子BIL8を発見しました。BIL9は胚軸や葉器官の成長促進作用を持ちますが、その機能発現は、ブラシノステロイドシグナル伝達の中核的タンパク質リン酸化酵素BIN2の直接的な阻害によるものであることも明らかとなりました。BIN2キナーゼはブラシノステロイド以外にも複数のシグナル伝達経路のハブ的な存在ですが、その阻害機構は今まで判っていませんでした。今回の発見により、植物細胞内のシグナル伝達のより詳細な制御機構が明らかとなり、さらに植物の葉成長の原理なども明らかになる基点になることと期待されます。
本論文は、アメリカの国際学術誌 Plant Physiology に掲載されます。
BRZ-INSENSITIVE-LONG HYPOCOTYL8 inhibits kinase-mediated phosphorylation to regulate brassinosteroid signaling
Zhana Chagan1, Genki Nakata2, 3, Shin Suzuki1, Ayumi Yamagami1, Ryo Tachibana1, Surina Surina1, Shozo Fujioka2, Minami Matsui2, Tetsuo Kushiro3, Takuya Miyakawa1, Tadao Asami4, Takeshi Nakano1*
1Graduate School of Biostudies, Kyoto University, Sakyo-Ku, Kyoto, 606-8502, Japan.
2RIKEN Center for Sustainable Resource Science, Tsurumi, Yokohama, Kanagawa, 230-0045, Japan.
3School of Agriculture, Meiji University, Kawasaki, Kanagawa, 214-8571, Japan.
4Department of Applied Biological Chemistry, The University of Tokyo, Bunkyo-ku, Tokyo, 113-8657, Japan.
*Corresponding Author
Plant Physiology, Jan 18:pcae009 (2024)
DOI: 10.1093/pcp/pcae009